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我ら咎人の群れ

 鬱蒼と茂る森の中で、響き渡るのは銃声。
「次だッ」
 鋭く叫んで、狙いを定める。破裂音に似た銃声が、再度耳をつんざいた。それと同時に、耳へと届く薬莢の落ちる音。その手つきは揺るぎなく、すでに次の獲物へと狙いを定めている。
 その瞳は鋭く、狩人の目つきとでも言えば良いのだろうか。
『アイツには、安心して背を任せられるよ』
 先日に再会した兄の、言っていた言葉を思い出す。
 確かに、と背から感じる彼の気配を感じながら、俺は思う。
 まるで砲台のような安定感、というのだろうか。彼の繰り出す正確な射撃は、確実に獲物の息の根を止める。その銃から繰り出される弾丸は、恐ろしいほどの破壊力を持って、襲い来るものへと繰り出されるのだ。
 杖を振るい、俺も迫る敵を撃ち落とす。
 カバリアへ来て、時が流れた。ここへと辿り着いたばかりの頃は、殴ること位しかなかった俺も、今では魔法という力を得ている。
 大気中のマナを集め、一気に解き放つ。その一撃が、敵を吹き飛ばす。
 こうして、力を得ることができた今も、更なる高みを求めている。
 どこまでやれるか試してみたい。そう言った兄の言葉が、今も俺の胸の中にある。
 俺も、同じだ。
 根幹は、きっと同じなのだ。
 双子の同調性とでも言うのだろうか。きっと、俺と兄の本質は、良く似ているのだ。
 ふと、日が陰り始める。夜の森は、とても危険だ。どこから獣が襲ってくるか分からない恐怖。そんなものが渦巻いている。
「……一時中断、だな」
 襲ってくる敵を撃ち落とし、俺は銃を構える相手へと、声をかける。
「分かった」
 俺に応じながら、彼……獅子のラフィオが駆け寄ってくる。敵をなぎ払いながら、休憩できそうな場所を探し、どうにか腰を落ち着ける。


 辺りは、次第に闇を深めていく。夜の闇に沈む森は、とても危険だ。闇の中で潜む無数の気配が、神経を苛む。
 火を起こし、明かりを灯しての小休止。
「……血の通わない殺しはね、気持ちが楽なんだ」
 焚き火の中の枯れ木が爆ぜる音を立てる。パンを囓りながら、ラフィオが呟いた言葉が耳に届く。火でリンゴを炙りながら、俺はその言葉にふっと顔を上げた。
「……ラフィオ?」
 揺らめく火に照らし出されて、ラフィオの俯く顔が見える。その口元は、どこか自嘲めいたような笑みで彩られている。
「君も、そう思わないか。直接手に、肉を裂く重みの伝わらない殺し方をするだろう?」
 不意の言葉に、どきりとした。
 確かに、自分も同じなのだ。血の重みの伝わらない狩り。離れた位置から、ただ撃ち抜くだけ。実弾か、魔法かの違いのみ、だ。
「だんだんと、感覚が麻痺していくような気がするんだ」
 呟く男を見つめながら、俺は小さく息を吐いた。
 命を奪うということの重み。それは、スタイルが違っていても、変わらないものだ。
 その命の上に、自分たちがある。目を反らすことは、許されない。
「………たとえ、だ。たとえ、そうだとしても、俺達は歩みを止めることは、許されない」
 小さく溜息を落とした後に、俺は呟く。ゆっくりと、焚き火へと視線を落とし、見つめた後に、視線を上げる。
 不安そうに揺れるラフィオの瞳とかち合った。
「幾百、幾千の命を奪ってきた?殺した相手の、肉の重みが伝わらなくても、俺達は確実にその命を負っているんだ」
 そう、沢山の命を負っている。その上で、生きている。
「……血の大河を越えて、俺達がある以上、俺達は、生きて行かなきゃいけないんだ。立ち止まるな。俺達が生きている以上、その命の生きていた証になる。それを負って、行かなきゃいけないんだ」
「………ジェン」
「そろそろ、休憩も終わりにするか」
 呟く獅子を尻目に、俺は炙ったリンゴを囓る。……甘い。夜も、そろそろ終わりを告げようとしている。動き出すには、程良い時間だろう。
「行くぞ。動いている方が、余計な事を考えなくて済む」
「……ああ」
 頷くラフィオに、俺は小さく笑う。
「悩むな、ってのは、無理な話かもしれない。けれど、お前の命は、お前が奪ってきたものの命と引き替えに、あるんだから。変な自虐を起こさないでくれよ?」
「………すまん」
 素直に謝罪を述べる相手に、今度こそ俺は笑顔を向け、勢いよく立ち上がった。大きく伸びをしてから、杖を構える。
 大気中のマナが集まる気配。………行ける。
 余計な考えを振り払うように、俺も呪を唱え始める。悩み始めたら、キリはないのだ。
 我らは咎人の群れ。幾百、幾千の血の大河を渡り行くもの。
 それでも、今日も生きていくのだ。











森の中で


「焼きリンゴーーー」
「おっ、俺のロールパンーーーー!!!」
な、図。
 台無しで、なんてこった。
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戻れねぇ……

インできなくなるたびに、突発SS書いてる気がします、てんてー。
とりあえず、これで約束(?)は果たしたぞ、と。

この前から何度か読んでるけど・・・

ここめっちゃ面白い!!1111
これからもファンとして見て行きますね~w

TS内でもまた遊んでねw(これからは羊でいることは少なくなるだろうけど・・・

おおおおお

い、いらっしゃいませーーー!!
面白いと言って頂けるとは、感激の極みですよーー。・゜・(ノД`)・゜・。
ナース羊さん………も、もしや白髪のあの方ですか?w
こちらこそ、是非また遊んで下さいww
最近すっかり猫を鍛えるのに夢中ですが(待
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Author:サージェン
オーロラ鯖で活動中の、まったりのんびり龍。

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